第2話でも紹介しましたが、西新宿八丁目は、片乗りネコ「太郎」と
おっちゃんのいる一大ネコ地帯でございます。高層ビル街でお馴染みの 靖国通りから一歩脇へ入ると、あらこんなヒナびた(?)ところが・・・ という不思議な地域であることは、以前に書いた通りです。
今回もまた、八丁目にスポットを当ててみました。
八丁目の中央部には、比較的大きな神社があります。その神社の入口 を出て、新宿よりに行くと、いくつか小さい商店のある路地に出ます。 普通の住宅地に、戦後の日本を彷佛させるような昔ながらの商店や、旧
い木造アパートが点々と混在しているのです。
例えば、極小さな構えの駄菓子屋や(最近の駄菓子屋ブームに乗ろう という構えのない)、靴の修理店、なぜか表に「天ぷら」と書かれた大 きな看板を付けている普通の木造アパート(「天ぷら屋」の形跡は全く
なし)、そして極め付けなのが、コンセプト不明な洋品店です。
この洋品店に限っては、昔ながらのお店というよりも、今も昔も珍し いのでは・・・と思われる奇妙なたたずまいをしております。木造の店 の外観には鮮やかな青と赤のペンキが塗られており、上を見上げると、
キッチュなデザインの時計が設置されています。壁にペンキで「モ○○ ○洋品店」と無造作に書かれていますが、普通 の洋品店らしい商品は見 あたらず、店の内部にも入りにくい状態で、ただショーウインドウに、
「これは売り物?」と思うようなガラクタのような商品が陳列してある だけなのです。
この店の存在は、もしかすると商売ではなく、アート? とも思うの ですが、並べてある商品は特別芸術的であったり、趣味性の強いもので もなく、かといって実用性の高いものでもありません。例えば、ネコの
陶器の置き物や、安価な感じのプラスティックドール、流行遅れのネク タイ、紫陽花の植木鉢に、郵便箱型の貯金箱、といった品々であります。 もしかしたら「何でも鑑定団」にでも出せば、意外と掘り出し物のある
店なのかもしれませんが、素人目に見てもちょっと・・・という気がい たします。 店主らしきおじさんがよく店の前に立っており、店のコンセプトを伺 いたいのですが、店の風貌とは対照的な普通のおじさんなので、気が引
けて今のところ話し掛けられません。もし聞く機会があれば、「ネコグ ラフィー」で紹介しようと思います。 ある日、この八丁目付近でピンホール写真の撮影をしていた時、通
り すがりの奥様に声を掛けられました。
「あら、あなた、写真を撮っているの? この辺はちょっと面 白いでし ょう?私は友達が住んでいるからよく来るんだけど、この辺に住んでい る人たちはなんというかこだわりのある個性的な人たちでねぇ。旧いも
のへのこだわりがね」と嬉しそうに話していました。その奥様は、下町風というよりはハイ ソな感じの方だったので、少し意外な感じがしました。いや、この街の 「天ぷら」の看板や変てこな洋品店や壊れそうなアパートはある意味ハ
イセンスなのかもしれませんが。
最後に写真の紹介です。 この写 真は、第2話で紹介した「気軽な野良猫鑑賞街(?)」で撮影 したやせっぽっちの野良猫です。ちょうど太郎のえさを狙って、忍び足 で歩いているところです。背丈を縮めて、いかにもこそこそと歩いてい たので笑ってしまいましたが、ちょっと哀愁が漂っています。